時を越えてメッセージを刻む、存在感あるリング
『敬愛』
19世紀イギリスでは、 貴族たちの間で、ジュエリーに自らの気持ちを託し、相手に贈るというメッセージ・ジュエリーが流行しました。
その中でも『REGARD』は、敬愛や好意を意味し、宝石の頭文字などを使って『REGARD』と表現したものが、特に人気を博していました。
このリングのように、直接『REGARD』と記されているデザインは、かえって珍しいものです。
正面には、『M.L』とイニシャルが彫られ、向かって右側より大文字でR,E,G,A,R,Dと大胆な筆致で文字が彫られています。
文字と文字の間の透かしになっている部分からは、繊細に編まれた金色の髪の毛が覗いています。
一般的にヘアーを使ったジュエリーというと、モーニングジュエリーを連想される方も多いと思います。
しかし、このリングを見ていただければ分かるように、19世紀の当時、髪の毛を使ったジュエリーは、モーニングというよりはむしろ、身近な恋人や家族への贈り物に使われていました。
中には、髪の毛で細密画を表現したものもあったほどです。
シャンクの内側には、左側からH&Sというメーカーズ・マーク、次に原産地を示すチェスターの街の刻印、次に、9金を表す9、同じように9金の.375、そして、製作年を示すアルファベットの小文字の『u』が打たれています。
残念ながらサイズ直しはできません。
12号と平均的なサイズですので、薬指や中指でもいいのですが、サイズが合わない方は、かえって人差し指や小指に付けてみるのもいいかもしれません。
リングのシャンクにこうして、一周ずっと細工がしてあるものは、外側の指に嵌めると横の文字までも見えるのが、お勧めのポイントにもなるからです。
130年以上も時を経ているとは思えない、良好な状態のリングです。
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