透きとおるエナメルに浮かび上がる聖母の祈り…
顎をあげて斜め上を向き、目を開いて手を合わせているひとりの女性…
彼女の下に刻まれている
「VIRGO」
の文字はラテン語で「乙女」「処女」を意味します(英語の「virgin」)。
頭部に後光が差していることから彼女は聖母マリア。
ペンダントを囲む真珠は「聖母マリアの純潔」を象徴する宝石です。
ヴェールを被り、天にいる神に祈りを捧げている姿を浮彫で彫刻しています。
マリアのまわりにはエナメル技法の中で最も難しいとされる「プリカジュール」による3色のステンドグラス風のエナメル。
一般的なエナメルは、金属の板の上に金属線で仕切りをつけ、そこに色ガラスの粉を乗せて焼き付けます。
しかしプリカジュールエナメルは下地の金属板を付けずにステンドグラスのように透けさせる技法。
薄い銅版の上にガラス素材を乗せて焼成し、出来上がった後に酸で溶かし(削り取る場合もあります)透過エナメルを作っていきます。
下地がなく金属線のみでエナメルを支えるので、非常に熟練した技術が必要になります。
特にこのペンダントのエナメルは裏表両側がぷっくりと膨らんでいます。
銅版を取り除いたあとにさらにガラス粉を持って焼き付けたのでしょう。
独特の光沢感を得るためにとても長い時間をかけて、手間をかけて、作られた作品だということがわかります。
ここでは青、黄、緑の3色のエナメルが使われています。
それぞれ空、太陽、木々を表しているのでしょう。
また、「3」という数字も題材がキリスト教のマリアというだけあって思わせぶりなところがありますね。
(三位一体、東方三博士等、キリスト教において重要な数字です)
先に触れたエナメルの盛り上がりのおかげで光の上り具合によって絵に動きがでます。
絵が平面的にならず、カメオ彫りのマリアと同様の質感です。
このペンダントが作られたのはルネ・ラリックやジョルジュ・フーケ等、プリカジュールエナメルの使い手たちが活躍したアールヌーヴォーの時代。
「VIRGO」の文字フォントがその時代性を感じさせてくれます。
このようなメダル状のアクセサリーはアールヌーヴォー期の少し前の頃より
フランスで流行していました。
左下に刻まれた「SELLIER」の文字はその時代に活躍した彫刻家のサインです。
プリカジュールという非常に高度な技法を用いて作られた信仰心の発露がうかがえる、芸術性の高いアンティークジュエリーです。
ペンダント表上部にフランスの18金を意味する「鷲の頭」の刻印。
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