単なる美しさを超えた、バッカンテのカメオ
流麗な唐草文様の金枠に背を向け、ぐっと上を見ているバッカンテの胸像が収められています。
バッカンテ(Bacchante)は酒神バッカスの巫女です。
酒と豊穣を司ります。
その頭にはワイン(酒)を象徴する葡萄の頭飾り。
手にはThyrsusと呼ばれるオオウイキョウの茎の先に松ぼっくりを付けた神具。
これは「豊穣」のシンボルです。
そこに結び付けられているリボンは古代ギリシャで主にお祭りの際に身に付けられたヘッドバンド「Tainia」。バッカンテがお酒を飲んでの享楽も表すからでしょう。
左肩に見えている動物の頭は豹で、彼女の着ている服も豹の毛皮です。
バッカンテには酒に酔って踊り狂ったりする快楽の象徴で、イコール様々な束縛からの解放となり、それが19世紀的には「女性の自由」と解され、絵画はもちろん、カメオの題材としても好んで使用されました。
このカメオの女性も自信に溢れた表情をしています。
斜め上を向いて、確かな意志をその瞳や口元に湛えています。
うねる巻き毛が肩から背中に流れ、頭飾りの葡萄の実と葉は貝の三層目が生かされて赤く浮かび上がっています。
また、背景となる地のコロニアル貝が下から上へ徐々に赤みが強くなるグラデーションになっているのも女性の自由への「希望」を感じさせるような効果を感じる、というのは個人的な思いに過ぎるでしょうか。
ともあれ、芸術的にも秀でたカメオであることは間違いありません。
その美しいカメオを縁どる金枠の唐草文様もこのカメオに重厚感というよりも、バッカンテの舞踏を想起させる軽快なリズムを感じさせてくれます。
薄い金を打ち出した、中が中空の細工ですから見た目よりもはるかに軽量です。
バッカンテの頭上に幾筋かのストレスが見られますが、顔にかかるものではありません、表面に現れているものではないので、ここから割れる恐れはありませんし、経年変化の範囲内です。
先にも述べたようにバッカンテは19世紀非常に人気のあったモチーフのひとつでしたから、バッカンテを彫ったカメオは多く見つけることができると思います。
しかしシェルカメオの特性から摩耗してしまっているものも少なくありません。
また明らかに彫りの質が劣るものも散見されます。
このカメオはそんな品々とは一線を画した、19世紀後期の「女性の自由」を表現した逸品です。
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