手に取ること驚くほどの軽さ、19世紀の職人だからこそ作れた金細工と紫がかったシックなガーネットの愛称の良さ。
ヴィクトリア時代でも古い時代の作品のため、職人による手作りの良さが感じられます。
ピンク紫色がかったガーネットはヴィクトリア時代の前期や中期に流行しました。今見る赤黒いガーネットはまた異なり、優しく落ち着いた雰囲気です。そうしたガーネットはゴールドとの相性が良く、油絵に重厚な額を合わしているようです。
それぞれの石は覆輪留めと爪留めを組み合わしたセッティングがなされ、この時代の特徴的な留め方です。爪と覆輪両方で留めることにより金を薄くすることが可能となり、爪が目立ちにくくなっています。
中央に水晶と共に配置されている雌しべのような球体と上下左右に伸びる花びらもしくは葉のような部分の表面には艶消しなるように模様が入れられています。
波打ったような形になっているため一見わかりにくいのですが、左側に伸びる上側の一部に小さな欠損があります。私もしばらく気付かなかったくらいでほとんど目立つことはありません。
全体を覆うようになっている台座の部分は帆立貝を四つ合わしたような形をしており、上部を花とすると葉を表現しているようにも見えます。
上側上部にはストッパー用のチェーンを留めるための輪が付いています。
尚、針は鉄ピンです。
立体的なこうしたヴィクトリアンらしいブローチは20年前にはイギリスのマーケットでもよく見かけましたが最近はもうあまり見かけなくなりました。
久しぶりに入手したまさにアンティークジュエリーと呼ぶに相応しい時代を感じさせてくれるブローチです。
150年以上の時を経ているにもかからず、しっくりと今の洋服にマッチしてくれます。
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