アールヌーヴォーの影響を受けた植物門が施された三位一体を表すクローバー型のクロス
ペンダントとしては珍しくデイマークが入っており、作られた年が解る作品です。1902年に作られた十字架で細工も手が込んでいます。
1870年以降のイギリスのリングに関しては登録地、製造年、金の純度を示す刻印が入っているものが多いのですが、ブローチやペンダントではそれらが揃っているものは大変珍しいです。多くは入っていても金の純度を示す刻印だけです。
その作りを見ていくと、酸を使い艶消しにした台座に立体的に植物を溶接しています。三つずつハーフカットされた天然真珠が花として小さな爪でセットされています。真珠はどれも状態が良好で、天然真珠の厚い層にまろやかな照りが見て取れます。その周囲に彫り込みを入れたくさんの小さな植物が茂っている様子を表現しています。手彫りでの表現であり、手作りの温かみが感じられます。
クロスはどうしても画一的なデザインの物や宝石が主の物が多く、こうした植物の柔らかな曲線が入ったものは大変珍しいです。1902年といえばアールヌーヴォーが全盛の時代です。アールヌーヴォーの美術様式が反映しているのでしょう。
四隅が半円が三つ重なったようにできたデザインは三つ葉のクローバーを象った模様です。これは三位一体を示すクローバーが十字架に結合した物であり、どうか優しく感じられるのは私だけではないでしょう。
裏をみると、二つの小さな穴が上下に空いています。これは十字架の本体が中空で作られているため、製作時に溶接した際に空気が膨張して爆発することを防止するための空気の逃げ穴でした。その間には刻印が入っており、左からABというメーカーズマーク、次に、9と.375の金の純度を示す刻印、登録地バーミンガムの錨のマーク、1902年の製作を示すアルファベットのCがあります。
この十字架にはオリジナルのチェーンが残っています。
面取りをしたメインの楕円のパールに合わして少し細い楕円を折り曲げて作ったパーツを交互に組み合わしていった手の込んど構造です。
留め具は差し込み式のもので9ctという9金を示す刻印が入っています。
1902年という年はアスワン・ダムが完成し、世界初のSF映画と呼ばれる「月世界旅行」が公開され、キューバがアメリカから独立しています。イギリスではエドワード7世が戴冠式を行った年です。
20世紀を迎え世界中が躍動していた年でした。
そうした年に作られた優美なクロスがこうしてチェーンも失われるとなく良好なオリジナルの状態で残っていてくれることに感謝したくなる作品です。
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