ロシアの刻印が入れられた希少なブローチ
当店でも数年振りに入手ることができた納得のいくロシア製のアンティークジュエリーです。ロシアのウラル山系で採掘された希少石であるデマントイドガーネットをふんだんに使った、まさにロシア製のならではのブローチです。
デマントイドガーネットは1853年にウラル地方タージニー・キール村を流れるバルロコフ河の川底から初めて発見されました。その後、その屈折率の高さから1878年にオランダ語で「ダイアモンドのように」という意味を示す「デマントイド」という名を冠し、デマントイドガーネットと命名されます。
その後、ロシア以外のジュエリーの市場に流通し人気を博してくるのは1900年頃になります。やがて、ロマノフ王朝が革命により倒れると採掘が中止されます。ペレストロイカ後に再び、採掘されるまでアンティークジュエリーでしか見られなくなり、幻の宝石と呼ばれていました。現在、多くみられるケニアとタンザニアの国境付近で採れるグリーンガーネットつまりツァボライトとは別の宝石です。
石の屈折率はダイアモンドに次いで二番目であり、反射分散光の強さを示す分散度は全ての宝石の中で最も高い数字を示します。そのため強い反射光を放つ宝石としてロマノフ王朝の王族から宝石商ティファニーにまで人気があった一級の宝石です。
このブローチにはアールヌーヴォー様式の影響が見られ、左右非対称の曲線美のデザインとなっています。三つの大きなデマントイドガーネットはバターカップセッティングで留められ、バターカップというよりも花弁をイメージされています。その他にもミル留めれたデマントイドガーネットがあり、これらは花開く前の蕾でしょう。また、葉の部分にも二つずつセットされており、眩い輝きを放ちます。葉は石がセットされていないものも三つあり、この葉は金の色が全体よりも黄色みの強い色合いとなっています。全体は少しピンク色がかった金色であり、二色の金を使用したカラーゴールドになっています。
台座の側面と針、針受けにはロシア製の金の純度を示す56という刻印と工房の刻印が入れられています。56とは金の純度が56%であることを示し、13.44金であることが判ります。ブローチの受けの先端は横に伸びており、針が刺さりにくいように工夫されています。
裏を見ると石の裏は開けられたオープンセッティングになっており、上下の花の裏側には表からは見えないように金の棒が伸びており、強度を増す構造になっています。また、身に付けた際にブローチが傾くのを軽減する効果も生んでいます。
農業国であったロシアはイギリス等西ヨーロッパ諸国に比べ、貧富の差が大きく、中産階級が形成されていませんでした。そのため、宝飾品は一部の王族や限られた貴族向けに作られていました。それに対し、イギリス等では産業革命により生まれた中産階級向けにも宝飾品は作られていたのです。そのため、イギリス製のアンティークジュエリーに比べ、ロシア製は格段に数が少なく、現在マーケットでも目にする機会が非常に少ないです。ですが、稀にロシア革命の際に亡命したロシア貴族達がイギリスへと持参したジュエリーたちがこうして市場に出てくることがあります。
このブローチも久し振りに手にすることができた希少な逸品です。豊かであったロマノフ王朝の時代が感じられる優美なブローチです。
配送日時につきましては、在庫確認後のご連絡でご要望を承ります。
配送ラベルに記載する商品名・送り主名につきまして、ご要望があります際には最大限の配慮をさせていただきますのでお気軽にご連絡ください。
当店では以下のお支払方法をご利用いただけます。
*お客様のご都合にあわせて商品お申し込みの際にご指定ください。
*銀行振り込み手数料、代引き手数料の決済手数料はご負担いただいております。
*7日以内にご入金・お手続きが確認できない場合、キャンセル扱いとさせていただく場合がございます。