気品溢れる彫りの貴婦人層ストーンカメオのクラバットピン
19世紀には実在した貴婦人の姿を女神に投影してカメオを彫ることがありました。この作品もそうして彫られた物かと考えられます。頭部の髪飾りは恐らく簡素化した麦にも映ります。
フランスの17世紀バロックを代表する画家シモン・ヴ―エの描いたデメテルの髪飾りにも似ているように見えます。
その一方、雫方の耳飾りやネックレスをした姿は19世紀の貴婦人を表現しています。鼻筋が通り、頬に柔らかな膨らみのある目の大きな美しき女性となっています。
使用されているサードニクスは硬度7と硬い積層瑪瑙であり、これだけ細かく巻き毛や粒の一つ一つの粒がはっきりとしたネックレスを彫り上げるのは大変高い技術が必要とされました。
スティックピンのため、通常のブローチよりもカメオの部分が小さくその限られたサイズの中で写実的に彫り上げるのはさらに困難であったと考えられます。19世紀のカメオでもスティックピンやリング等小さいサイズのカメオでは彫りが簡素なものが多いのも事実です。ヨーロッパでそうした簡素な彫りの作品に出会っても私は手が伸びることはありません。しかし、彫りの良し悪しを判断ができるディーラーのところには素晴らしい彫りの物も見かけることはあるのですが、価格が当店よりも遥かに高く設定されており、諦めざるを得ません。そうした中、彫りが素晴らしいにもかかわらず、久々に10万円台でご提供することができたストーンカメオです。
状態も良好で石にヒビや傷などもございません。地の色合いが濃いので白いモチーフの層とコントラストがあります。そのため身に着けた際にサイズはカメオ部分が2cm弱にもかかわらず、はっきりと浮かび上がります。離れて見ても、ストーンは貝のカメオよりも硬さが硬いため摩耗することもなく、細部がしっかりとした陰影が出ます。ネックレスの一粒一粒までもがボケることなく輪郭がはっきりと映ります。
こうした浮き上がるように見える彫りは、現代のサンドブラストによる白地の薄いストーンカメオでは感じられない魅力だと言えます。
スティックピンはかつてクラバットピンという名が付いていた通り、スカーフやクラバットというネクタイの前身になったものを留めるために使われていました。針の受けが無かった当時、滑り止めとして針の途中に溝が彫られています。その他、コートやジャケットの襟元などを飾るのも素敵です。
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