ウィットビー産の漆黒のジェットを素材としたゼウスの妻ヘラをモチーフとしたカメオ
モーニングのジュエリーの代表的な素材であるジェット。旧石器時代から人々は身に着けてきました。世界で最も良質なジェットを産出するイギリス・ヨークシャー地方のウィットビー。私も数年前に訪れました。
そこには、古くから人々が住みつき、古い教会跡やそのすぐそばにはある博物館には古代ローマ人やそれ以前に人々がその地で生活していた遺物が展示されていました。
ジェットは磨けば磨くほどに漆黒の輝きを放ちます。そのため、古代より魔除けとして重宝されてきました。中世には琥珀と共に袋に入れることにより悪魔が近づないと信じられていたそうです。やがて、ジョージアン期にモーニング・ジュエリーとして身に着けられ、1861年にヴィクトリア女王最愛の夫アルバート公の死をきっかけに、大きな流行となりました。女王は長い喪の期間に入り、それは1887年のゴールデン・ジュブリー即位50周年記念まで続きます。この時を機に喪の緩和令が出され、モーニングジュエリーの流行も終わりを迎え、ウィットビーの鉱山も閉鎖さえます。
女王が喪に服していた期間、女王は自らだけでなく、宮廷内で働くもの、女王に謁見するものも皆、哀悼の意を示すためにモーニング・ジュエリーを身に着けました。その後、女王に見倣い、多くの国民がジェットを身に着ける流行となりました。
そうした長い間のモーニングジュエリーの流行の中、単純であったジェットの模様もこうしたカメオなどに発展していきました。モチーフとなっているのは、ギリシャ神話において「神々の女王」と呼ばれ結婚と母性、貞節を司る女神ヘラです。最高神ゼウスの妻であり神々の女王と呼ばれる姿はヴィクトリア女王の姿に重なります。頭部に王冠を付けていることからヘラと判断できます。
他のジェットのカメオと同様にカメオ部分は彫られ、フレームは別のジェットで作られています。漆黒の色合いがウィットビー産特有の物であり、そのしっとりとした黒光りが美しいです。ジェットのカメオはイギリスで彫られているものがほとんどで、シェルや瑪瑙のカメオに比べ、彫りが簡素なものが多い中、このカメオはしっかりと浮き上がるように細部まで細かく彫られています。
状態も良好で、僅かに、首の左端の先端に傷があるくらいです。シェルや瑪瑙のカメオと違い、黒一色のため、モチーフを引き立たせることは難しいのですが、このカメオは女神がハッキリと陰影を持って映ります。
裏のピンはオリジナルの真鍮の物が付いています。ジェットは琥珀と同じくらいの比重であり、軽い素材ですが、厚みがしっかりとあるため、通常のアンティークのシェルカメオと同程度の重みは感じられます。
数の少ないジェットのカメオです。価格もウィットビーのお店で見た物もよりもかなり安くご提供させていただきました。
古代より続く装身具ジェットの黒光りが心惹くカメオです。
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