精巧に作られた小振りながらもどこを見ても丁寧な作品
1920年代から1930年代にかけて、カリブレカットというレール状にルビーやサファイア、エメラルドなどの貴石を並べセットしたジュエリーが流行しました。隣の石との間に隙間なく並べるには、このブローチのように台座がカーブしている場合、そのデザインに合わせて微妙な角度を調整し石をカットしなければなりません。決まりきったカットがされた宝石を使う訳にはいかず、量産化が難しいです。
カリブレカットと極小のミル打ち、石の裏側をハンドカットで開けることなどが特徴のこの時代のジュエリーです。しかし、南米で、アールデコ期のジュエリーの精巧なリプロダクションが製作されています。そうしたものの多くはアメリカを経由し、ヨーロッパのマーケットにも流れています。
真贋を判断する際には、やはりカリブレカットの精巧さに差があることに注目します。多くのリプロダクションは当時の一級の作品に比べ、カリブレカットの石と石の間に隙間があることが多いです。それに比べ、このブローチは色の揃った天然サファイアが肉眼ではほとんど分からないほどに隙間なくセットされています。金の台座に囲まれ、周囲は極小のミル打ちが施されています。
ブローチ全体も金で作られており、ダイアモンドがセットされた表側の周囲のみはプラチナが使用されています。中央にはオールドヨーロピアンカットのダイアモンドが五つセットされ、バーの左右にはローズカットのダイアモンドが11個ずつ並べられています。一つ一つ小さなプラチナの爪で留められており、プラチナのエッジにも全て極小のミルグレインが施されています。
リプロダクションの場合、ローズカットのダイアモンドもここまで不揃いではなく、均一の物を使っていることが多いです。原石の形を生かしてカットされたローズカットはセッティングに手間を要しますが、そこから生まれる光はどこか温か味が感じられます。
そのミル打ちは中央のサファイアとダイアモンドの境にも同様に行わています。側面から見ると、プラチナと18金の板が組み合わしてあることが判ります。裏側をみると、石の裏は一つ一つの石に合わせ、ハンドカットで開けられていることが判ります。この作りもどこか現代に似せて作られた物とは異なります。
尚、中央の五つのダイアモンドの裏側だけはプラチナのままであり、カリブレカットのサファイアをセットしている内側は表からと異なり、金が使われていることが判ります。よく見ると、金の上にダイアモンドをセットしたプラチナの台座を合わしているのです。大変精巧な作りです。
中央のサファイアがセットされた金の台座の周囲は芯が伸び12個の天然真珠が芯留めされています。小さくとも無核真珠のため、深い真珠層が感じられる白く輝く色の揃ったパールです。
針の受けは安全ピンのようになっているため、先端が刺さることはありません。こうした受けはスカーフ留めなどとして使用されるバーブローチにこの時代見られるものです。針の根元は透かし幅が太くなっていますが、これは布地を最後まで指すことにより、ブローチが傾きにくくする効果を考えての作りです。その根元には18Kという18金を示す刻印が打たれています。
小さいブローチながらもしっかりした作りと素材の良さにより、存在感が感じられる逸品です。やはり、リプロダクションの似せて作られた物と比べると、味わいが感じられ風格があります。
尚、撮影時に使用した箱はオリジナルではなく、合わされていたものです。
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