クッションシェイプのダイヤはモダンカットにはない硬質な輝きを放つ。
コロナになってからの2年でアンティークジュエリーの枯渇を一層感じるようになりました。特に、こうしたジョージアンやヴィクトリアン初めの頃のリングは入手することが以前に比べ、難しくなりました。オールドマインカットのジュエリーはほとんどリプロダクションはありませんが、ローズカットのダイヤを使用したジュエリーでは近代に作られた物がたくさんマーケットに出回っていることを目にします。
ブローチやペンダントに比べ、指輪は身に付けられていた月日が長かった物も多く、また、指先にあるため物に接触することが場面も多いです。そのため、表面が摩耗していることが一般的です。それによりフェイスの表面を指で触っても爪や覆輪が引っ掛かることがほぼありません。
このリングも一つ一つのダイヤは石の形に合わせるように台座のシルバーで囲まれ彫り込まれた爪で留められています。その爪や周囲の台座はもともと石の形に合わして丁寧に作られている上に、経年で摩耗し引っ掛かりが全くと言っていい程ありません。色石と異なり、硬度10と硬いダイヤは周囲の金属に摩耗があっても石自体には摩耗はありません。硬度9のルビーやサファイアでも多くの指輪で摩耗があるので、やはり、ダイアモンドの硬さを改めてこうして手に取ると感じられます。
ガス灯や電気が普及していなかったこの時代、灯りは主にオイルランプや蝋燭が使用されていました。柔らかな炎の灯りの中、宝飾品は裏を閉じた状態で石を嵌めることが一般的でした。このリングもダイヤの裏が覆われたクローズドセッティングになっています。フェイスの裏は指に沿うようなカーブを描いた形をしており、彫りなどは入れられていないことからも、1800年代初頭というよりは1840~50年頃に作られたリングだと推定できます。
ショルダーからアームにかけては、ハイカラットゴールドが使用されており植物模様が彫り込まれています。ルーペで見ると時代による摩耗もあり味わいが感じられます。1860~70年頃にバーミンガムやロンドン、チェースターなどで量産されたリングに比べシャンクに厚みと僅かな丸みがあるのが指で挟むように触ると感じます。
オールドマインカットの特徴としてモダンブリリアントカットと比較すると、テーブル面が小さくクラウン部分が高い、また、ダイヤの原石の形に近いため、ガードルが四角いクッションのような形をしています。テーブル面に光りの乱射を集める計算が尽くされているモダンカットと違い、一つ一つのファセットが硬質に輝く光を放つのが特徴です。ローズカットと比べると、カット数も多く、石に厚みもあるため、いろいろな角度から入る光を反射します。
シルバーとゴールドに囲まれた中、ダイヤが本来持つ硬質な輝きを放つ。まるで、一つの古典的なダイヤという絵画が金と銀の装飾的な額に囲まれ、指の上で飾られているようです。
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