オリジナルボックスに収納された可憐なブローチ
1900年頃になると酸素バーナーの普及により、プラチナがジュエリーの素材として使われるようになります。プラチナの粘着性と割る金属により硬さが出るために、細い線や小さな爪で石を留めることが可能になります。エドワーディアン期にはそうしたプラチナの性質を生かした繊細なジュエリーが流行しました。
ダイアモンドをセットする際には周囲に金がある場合、黄色い反射光によりダイアモンドも含め全体が黄色く映ります。そのため、白い金属であり、銀のように硫化で黒くなることがないプラチナは、ダイアモンドや真珠をセットした場合にはジュエリーの表側に多用されました。エドワーディアン・ジュエリーが白のジュエリーと呼ばれるのも、そのためです。
尚、20世紀の初めには、プラチナは今よりも遥かに高価で希少でした。そのため表側にプラチナを使用し裏側には金を使う、プラチナ・フロンド・ゴールド・バックという構造がほとんどでした。19世紀のシルバー・フロント・ゴールド・バックに変わった素材がプラチナだったのです。
そうした時代にありながら、このブローチはダイアモンドの周囲や外側を囲むような植物の蔓の部分にはプラチナを使用しながらも、花や葉を支える茎の部分には金が使用されています。エドワーディアン期のジュエリーではこうした茎の部分にもプラチナが使用されています。金が使用されることにより対比的に真珠やダイアモンド、プラチナの白さが引き立てられた印象を受けます。
白く透き通るような深さのある天然無核真珠は自然の恵みを表現しているようであり、真珠の花弁に囲まれた花の中心にはミル留めされたオールドヨーロピアンカットのダイアモンドが光を添えています。また、左右に広がる葉の上にはローズカットのダイアモンドが光を添えています。花のダイアモンドはミル留めされており、葉の部分に八個セットされたダイアモンドは二個の彫り上げられた爪で留められています。葉の周囲には極小のミル打ちが均一に施され、一つ一つの粒が小さな反射光を放ちます。
葉の裏側は金で作られており、表からダイアモンドが光を通す部分つまり爪で覆われていない表面と同じ形に裏側は彫り開けられています。茎の部分はナイフエッジになっており、裏側は少し太くなっています。
小振りなブローチですが、細部まで非常に丁寧に作られています。裏面上部と下部にはストッパー用のチェーンを付けるための小さな輪もあります。針と受けも金で作られています。
最後になりますが、このブローチのもう一つの魅力は外側を革張り、内側をシルクとビロードで作ったオリジナルボックスです。ブローチの形に合わせぴったりと収められています。蓋には金の唐草とドット模様が入れられています。可愛らしい味のあるケースです。かつてローンドンのリージェントストリートにあった王室御用達の宝石商のマークが内蓋を飾っています。
同時代の量産化されたブローチとは一味違った繊細で手の込んだ良質なブローチです。左右非対称のアールヌーヴォーは、胸元に自然な曲線で白き花を咲かせてくれます。
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