硬度7と硬い素材にもかかわらず細密な彫りに驚かされるカメオの逸品
- 商品番号 /C4036X
- 年 代 / 19世紀後期頃
- 国 名 / フランス
- サ イ ズ / 縦：51.8m 横：46.7mm 厚さ：11.5mm
- 素 材 / サードニクス、天然真珠、18金
エリザベス1世の豪華な衣装に包まれた姿を表現した細密な彫りのカメオです。
その特徴はやはり立った襞襟でしょう。レース状になった襞襟を細密に彫り込んでいます。その他、頭部のティアラや真珠のレーンのような飾り付け、首下の二重の真珠のネックレス。胸元中央の豪華なペンダントや細かな模様まで彫り込んだ衣装。全てが大変丁寧に再現するように彫り込んでいます。
映画「エリザベス」でケイト・ブランシェットが演じたエリザベス1世の姿と非常に重なります。他の襞襟と比べると、広がりのある特徴的な形をしています。その権力を象徴するように装飾品もまた大きく豪華であり、衣装も華やかです。
19世紀の肖像カメオに比べると細部の作りが各段に異なります。
手の込んだ彫りのカメオを飾るため、周囲のフレームも月桂樹の冠とリボンを組み合わしたような豪華な気品のある物となっています。18金で作られたこのフレームは青味のある金とピンクゴールドの二色によるカラーゴールドになっています。葉の部分のみ銀の割合を高くすることにより青味を出した金が使われ、フレームやリボンの部分は銅の比率を高めたピンクゴールドが使用されています。
葉の表面には、脈が小さな点で叩き込まれて表現されています。側面をルーペで見ると、金色の葉は表面を作り、それをピンクゴールドの厚みのある台座の葉に組み合わせていっています。この厚みにより強度を持たせています。そのため、裏を見ると全て同色のピンクゴールドになっています。葉が付いている茎の部分もナイフエッジの横幅のある線がしっかりとものが使われています。リボンの表面にも彫り込みが入れられ、艶が抑えられています。金の平たい板を職人が実際に曲げてリボンにしていることが判ります。
内側には6個の天然真珠が芯留めされています。真球のこうした無核真珠は当時も今も大変希少でした。そのため、19世紀のパールを使用した物の多くはハーフカットされた物が使われおり、真球のものは少ないです。
裏側を見てみましょう。針と受けには刻印が打たれていますがつぶれており、はっきりとはみえません。針は上に力を入れるとスライドして外すことができます。また、針の受けは内側に折りたたむことが可能になっています。裏面上部にはチェーンを通せるようになっており、ペンダントとして使用する際には針と受けが邪魔にならずに安定して身に付けられるようになっています。針を通す金具の側面にはフランス製の18金を示す鷲の横顔の刻印が打たれています。
針を外した状態では、右側に蝶番が付いているため、ロケットが開閉することができます。通常は枠全体を取り外す構造になったロケットバックが多い中、開閉式であることにもこのカメオの品質の高さが伺えます。現在はオリジナルの当時の紳士の写真が入っていますが、取り外して他の写真に交換することも可能です。
細密な彫りに驚かされるストーンカメオの逸品。その彫りのモチーフ、手の込んだフレームにはネオルネッサンス様式の影響が感じられます。
