永遠と再生を表す渦巻模様のブローチ
以前に扱ったスパイラルリングでもご説明致しましたが、渦巻き模様はヨーロッパではケルト文化において重要視された装飾様式でした。その他、日本の縄文文化やマルタ島の遺跡、マウリ族の入れ墨世界各地でも見られます。
1920年頃には渦巻模様のスパイラルリングが流行しました。このブローチもそれ以前から1920年頃までに作られたものだと考えられます。1920年代後半の作りというよりは、1910年頃のエドワーディアン期のジュエリーの特徴を持っています。プラチナフロントゴールドバック、細やかなミル打ち、天然真珠とローズカットの使用、針の受けや根元の作り、それらを総合的に考慮すると、1910年頃にも見えます。
こうして渦巻き模様が流行した背景には、ヨーロッパ文化の中心からは外れてはいますが根源であるケルト文化の潮流が影響しています。渦巻の円を一回転すると終焉であり、また、それは新たなる円の始まりでもあります。これは人間の生が死を迎えると共に新たな生の始まりでもあること、輪廻を意味していると言えます。無限に続く終わりと始まり、つまり永遠を象徴しています。
その作りを改めて見てみると、三つの天然真珠は無核のため、100年以上の時を経ても柔らかな光沢を保っています。ハーフカットではなく、左右の真珠はボタンパールと呼ばれる平たい真珠で、中央は真球に近いものがセットされています。
周囲のプラチナの台に嵌め込まれたダイアモンドはローズカットが施されており、きらきらっと光る輝きは、まさに渦巻の中で光を反射する泡のようです。左右の両端にもぞれぞれダイアモンドはセットされており、微かな光が星のように放たれます。プラチナのエッジの部分は極小のミルグレインが施されており、ナイフエッジで非常に細くなった曲線の上にもしっかりと均一にミル打ちが施されており、驚かされます。
側面をみると判るように、表面はプラチナが使われています、本体の多くは14金が使われています。裏側を見るとダイアモンドの裏面はそれぞれの石の大きさには合わせオープンセッティングになっているのに対し、芯留めされている真珠の裏面は金がしっかりと覆われています。中央の真珠の裏面には、585という14金を示す刻印が打たれています。刻印からすると恐らくドイツで作られた物だと考えられます。
針は根元が二本に分かれ、短い針も付いた構造になっています。これは横や縦に長いブローチが横に傾かないようにするために付いた付属的な針で、メインの針と共に布地に通すことにより、傾きを抑えます。
全体のフォルムは渦巻でも左右にも曲線が伸び、それが再び中央に戻り真珠を巻き込むようになったもので、特別にアレンジされた渦巻き模様になっています。
太古の昔から続いてきた渦巻き模様、脈々と受け継がれていっています。クリムトの生命の木やゴッホの糸杉の空の模様などにも見られ、私達が受け継いできたDNAもまた螺旋構造になっています。不思議と人々を魅了してきたスパイラル、永遠と再生のシンボルが胸元に輝きます。
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