信仰は優れた作品を生み出す・・・卓越した彫りのカメオです。
19世紀のカメオの多くはギリシャ神話を題材としていますが、稀に聖母マリアやイエスキリストをモチーフとしたカメオが彫られています。イエスキリストは聖母マリアに比べても製作数が少なく、現在のマーケットで見かけることも数年に一度というくらい貴重な物です。
このカメオは石積みの上に腰かけたイエスが子供たちに手をかざしている構図となっています。原画を探したのですが見つかりませんでした。カメオに彫られている題材は多くは原画があるので、もしかしたら、このカメオにも題材となった原画があるかもしれません。恐らく、19世紀にイタリアを訪れた富裕なイギリス人旅行者が本国へと持ち帰った物でしょう。バチカンでキリスト教の精神と壮大な美術のコレクションに触れてきたことだと想像が広がります。
彫りをルーペで確認してみると、全身像にもかからず、キリストと子供たちの顔は写実的に彫り上げられています。イエスの表情には穏やかな愛を子供達には安らぎと信仰が感じ取れます。子供たちの祈る指先にも思いが伝わって来るようです。
これまで私が見てきたイエスキリストを題材としたカメオは横顔、全身像どちらも素晴らしい彫りの物でした。製作数は少なく、恐らくベテランの技術の高い職人だけがイエスキリストを題材としたカメオを彫ったのではないかと考えられます。その根本には信仰があり、陳腐な彫りのカメオを販売することを許せなかったのではと思われます。
カメオを見ていると、その一挙手一投足が伝わるようで、体に温もりを感じられてきます。イエスの頭部の後ろには光輪が輝いています。
貝は全体を磨き上げられており、特に背景の部分は何度も細かさの違う研磨剤で磨き上げられており、光沢のある艶やかさが光を反射するほどです。また、当時のカメオは軽量化を図るため裏からも彫ってあり、貝が光を透かすほどの厚さになっています。カメオの下部に色の違うところが見えますが、これは傷という訳ではなく、初めから貝の色が異なる物です。裏をみると中央部分にも色が異なる層があるのが分かると思います。
フレームはシンプルなものですが、裏面をみると針と受けのある部分の金の板がおしゃれな曲線を帯びた切り抜きになっているのが解ります。針の根元の下には取り外し可能なチェーン付きストッパーが付いています。現代では針に付けるシリコンストッパーがあるので、取り外していただいても安全に使えます。チェーンの先端には簡単な安全ピンのような留め具が付いているので、本体の針とは別につけてもらいストッパーの役割を果たします。ストッパーはワンポイントとしておしゃれになります。表側からは分からないのですが、フレームの裏側左上部に少し凹みがあります。その他は至って状態は良好です。
本当に写実的なカメオであり、さり気なく使用するのも宜しいですし、普段は小さな額に入れて飾り楽しむのもお勧めです。
滅多に出会うことのない希少なイエスキリストを題材としたカメオ。その彫りも19世紀のカメオならではの生きた彫りと呼べる優作です。
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