職人の手が作り出したスイスの至宝
19世紀、貴族たちの間では、避暑地としてスイスに行くことが流行しました。
そうした富裕層に向けて作られたのが、スイスエナメルと呼ばれる細密七宝です。
ガラスの粉を水に溶かして描き、焼き付けるもので、現代でも再現が難しいほどの技術であり、当時も高価なものでした。
最もよく使われた題材は、この作品のようにスイスの各地方の民族衣装を着た女性の姿を描いたもので、次にレマン湖の畔を描いた風景画が人気がありました。
この作品のように、男女揃ったエナメル画は非常に珍しいのです。
エナメルは陶板に比べ、細密な線が美しく表現でき、
色使いもはっきりとした物が製作可能でした。
そのためこのブローチのように小振りの作品でも、
実際に身に付けて距離を置いて見た時にも、はっきりと図柄が見えるのです。
また、ガラス質のため、艶やかな光沢があり、そこが職人が作り出した宝石と呼ばれる所以でしょう。
このブローチの画像を見ても、光を反射しているのが分かります。
先にも述べましたが、こうした男女二人の姿をモチーフとした物は少なく、手を取り合った二人は本当に仲が良さそうで、微笑ましいです。
色鮮やかな二人の姿の背景には、空から山、そして森へと、グラデーションになった柔らかな色合いが使われ、人物を対照的に浮き出させており、職人の技術の高さがうかがい知れます。
この優れたエナメル作品には、カンティーユといわれる、非常に凝った細密金線糸細工の枠が使われています。
その上驚くことに、その金線の中には粒金が連続して行われているのです。
粒金と呼ばれる球状の金を作って細工することは、当時も今も非常に難しい技術で、このようなところにも、職人の高い技術と時間が費やされているのが認められます。
この作品は、エナメルの表面には目立った傷はないのですが、よく見るとエナメルの左下に、ごく小さな欠けがあるのが分かります。
とはいえ、多くの作品を見てきた私から見ても、状態は良好なものだといえるでしょう。
スイスエナメルというと、もっと大きなものが多い中で、こうした小振りのものは少なく、さりげなく身に付けやすい良品です。
当時の貴族たちが過ごした、スイスでの優雅な時間が伝わってくるような作品です。
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