恋の守り神プシュケをモチーフとしたカメオからは女神の優しさが伝わってくるよう。
プシュケはある王国の末の御姫様として生まれました。その美貌は人々の崇拝の対象とまでになり、それに嫉妬したヴィーナスにより、様々な難題を負わされることになります。しかし、多くの者たちの助けにより、数々の難題を乗り越えていきます。そして最後には神酒ネクタルを与えられ、女神となりました。神となったプシュケはヴィーナスの息子であるキューピットの結婚を許され、天界で幸せに暮らすこととなりました。
その姿は絵画や彫刻では蝶の羽を背中や頭部に飾った姿で表現されることが慣習化されています。このカメオにおいても背中と頭部に蝶の羽があり、プシュケであると判断できます。
静かな澄んだ表情をしており、頬の膨らみには若々しさが感じ取れます。また、すっきりと通った鼻筋はギリシャ彫刻のような美形を示しています。小さく膨らんだ唇からは優しい言葉が発せられそうです。二重になった眼差しも柔和なものです。一方頭部の巻き毛は非常に彫りが深く立体感が感じられます。この髪の彫りはアンティークカメオならではの写実性でしょう。
一方、首筋や肩は貝を磨き上げ、純白の肌の柔らかさが伝わってくるようです。こうした彫りの細かさと貝の滑らかな部分の対比により、モチーフとなっている女神が実際の貝の厚み以上に遥かに浮かび上がってきます。それはまた、背景となっている貝の層が濃いチョコ色で貝の白さを一層引き立ていることにもよります。
フレームはウィットビー産の漆黒のジェットが使われています。このことからイタリアで彫られたシェルカメオのルースがイギリスにもたらされ、ブローチへの加工はイギリスで行われたと考えられます。
ジェットの表面には細かい彫りを重ねることにより艶消しを施した部分と艶やかな部分の対比により模様となっています。よく見ると内側中央左側と内側2時の角度右側に小さな欠けがあります。黒いので実際に身に着けた際にはほとんど目立たない傷です。尚、裏側下部にも画像からも解るように欠けがあります。この傷も幸い正面からは目に映らないものとなっています。カメオ自体は100年以上の月日を優に越えてきているにもかかわらず摩耗もほとんどありません。左側上部に斜めに貝の層が僅かに出ているところがありますが、しっかりとジェットで裏からも覆われているいことからも問題はありません。
シェルカメオは乾燥などで痛むことがあるので時折、ベビーオイルやオリーブオイルなどを塗りその後拭き取ってもらうと、状態を良好に保つことができます。また、艶が増しより美しく見えます。
ジェットをフレームとしたカメオでは彫りの美しい物は少ないのですが、久しぶりに手に入った素晴らしい彫りのカメオです。モチーフとなっているプシュケも珍しく、特に現在ヨーロッパに仕入れに行くのが難しい現状では、今後、手に入る可能性が非常に少ないと言えます。こうしたカメオはイギリスの地方のフェアを隈なく歩き偶然の出会いで手に入る物です。150年程の時を越え、また、イタリア、イギリス、日本へとユーラシア大陸を越えてやってきたカメオ。その美しい彫りであるからこそ、長い間たくさんの人々を勇気付け、今に残ってきたのでしょう。
これからもまた、誰かの胸元を飾り、その心にプシュケが寄り添ってくれることかと思います。
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