指の上に広がる小さな花畑。
ジャルディネッティとはイタリア語で「小さい庭」という意味。
18世紀フランスを中心としたヨーロッパでは、繊細で柔らかい、フェミニンさが特徴なロココ様式の影響で花のモチーフが、インテリアからファッション、絵画、宝飾品にまで取り入れられます。
そうした流れの中で宝石で花々のブーケをアンシンメトリーのデザインした大振りのブローチやストマッカーが王族貴族の間で流行します。それはやがて小振りなリングやブローチへと変化していきます。こうしたジュエリーはジャルディネッティと呼ばれ、その後、イギリス等にも流行は伝わり、ヨーロッパ各国の王侯貴族向けに19世紀にかけても作られました。
このリングは19世紀の半ばに作られた物だと思われます。
力強く輝くダイアモンドはオールドヨーロピアンカット。上部のルビーに囲まれた物はラウンドシェイプ、下にある二つのダイアモンドはクッションシェイプになっています。三つ共にカットダウンセッティングになっています。一方、ダイアモンドの裏は開かれたオープンセッティングになっており、光が抜けるようになっています。オープンセッティングは基本的にはガス灯の普及する1870年代頃から多く見られるようになりますが、18世紀から19世紀初頭のティアラなどの美しいダイアモンドのセッティングにはすでに見られます。
また、ラウンドシェイプのオールドヨーロピアンカットのダイアモンドは南アフリカでダイアモンド鉱床が発見され、ヨーロッパに多く輸出されるようになるやはり1870年代以降に多く見られるようになります。
一方でルビーやエメラルド、サファイアなどの色石はクローズドセッティングになっています。それぞれの花弁や葉、茎の形に合わせ石はカットされています。石の周囲は薄くした金で一つ一つ覆輪留めしており、古い時代の作りだと判ります。
厚みのある金のショルダー部分にはローズカットダイヤが二つずつセットされ、その先には金には彫り込みが入れられています。彫りの模様はすり減るように摩耗しており、愛用されていたのが伝わってきます。
こうしたシャンクの作りや石のカット、留め方などを総合的に判断すると、恐らくヴィクトリアン時代中頃のものだと考えられます。
硬度の高いダイアモンドやルビー、サファイアなどはほとんど傷や摩耗無いのですが、ルーペで見ると一番端下部と端上部のエメラルドには小さな欠けがあります。これもまた、時を経てきたリングのリプロダクションではない証です。
ダイアモンドは茎の部分にもセットされており、茎の幅に合わせてカットされ隙間なく嵌め込まれています。全体は金で作られていますが、ダイアモンドがセットされた花や茎の部分、ショルダーの蔓の部分には銀が使用されています。それにより、ルビーの花弁やエメラルドの葉、サファイアを囲む部分周囲の金が銀と対比的に浮かび上がります。
大変希少なジャルディネッティのリング。指に付けた際の存在感は他のアンティークリングと比べても一際華やかで独自性のあるデザインが目を惹きます。
当店にあるリングでも最高峰の逸品です。
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