ヴェスヴィオ火山の堆積物ラーヴァを使い女神アルテミスが猟犬を両脇に従えた珍しい構図の逸品
西暦79年に起きたヴェスヴィオ火山の大噴火により、ポンペイの街は一瞬にして火砕流の中に埋まり、火山灰が降り積もりました。そうして古代ローマの街は封印され、長い間、忘れ去られていました。時は流れ1748年にポンペイは再発見され、発掘が始められようになります。やがて、グランドツアーでイギリス等の貴族の子弟が見聞旅行にイタリアを訪れることが流行します。
その際、ポンペイを訪れた旅行者たちは、カメオを買い求めました。1860年くらいまではシャルカメオはシチリア島を中心に作られていました。その後、ナポリ近郊のトッレ・デル・グレコに移ります。ナポリ近郊つまりポンペイ周辺で作られていたカメオは19世紀中期以前には貝ではなくラーヴァが多かったのです。
ラーヴァを使用したアンティークのカメオは現在ヨーロッパのマーケットで見かける数は、恐らくシェルの10分の1以下、30対1くらいでしょう。さらにしっかりとした写実的な彫りで、状態の良い物は非常に少なく、5個に1個くらいしかないのが実情です。そうした中、10年に一度くらいの出会いと呼べる逸品が手に入りました。
これまで目にしてきたラーヴァカメオの中でも特に珍しい構図です。中央に2000年前の姿を留めたような女神の正面彫り、左右に猟犬の横顔があります。下には、中央にアンフォーラ、その左右に団栗、さらに蕾が付いています。アルテミスは出産の守り神でもあり、また、森の女神でもあります。そのため、多産の象徴であり、森を連想させる団栗がモチーフとなっているのでしょう。
アンフォーラとは二つの持ち手が付き胴体から細くなった首を持つ陶器の壺の事です。紀元前15世紀にシリア・レバノンの海岸沿いから各地に広まり、古代ギリシャ・ローマではワイン、オリーブオイル、穀物、魚などを運搬、貯蔵するために使われていました。古代ローマ時代にはワインの産地であったポンペイということを連想するためかアンフォーラが使われているのでしょうか。残念ですが先端が割れてしまったのでしょう、繋いだ跡があります。
傷はその他、恐らく三日月の先端は僅かに欠けたのではないかと思えます。また、右側の髪の毛の一部も欠けたかと考えらえます。どちらも本当に小さな傷なので、全く気にならない程度です。裏を見ると針と垂れ下がるものを繋ぐ金の線が見えます。これらは18金で作られており、本体に芯留めされています。抜きに出た素晴らしい彫りのカメオであったため、18金で加工されたのでしょう。
箱も内蓋のシルクに痛みがありますが、オリジナルボックスが残っています。150年以上の長い年月を大事にされてきたのが解ります。箱の裏側には販売した宝石商のシールが残っています。ロンドンのNew Bond St(ニューボンドストリート)の名があります。日本で言えば銀座に当てはまるでしょう。19世紀にイタリアにオーダーして作らせた品であったのでしょう。
改めてその彫りをみると、女神の鼻は高く、半開きになった口は今にでも語り掛けてきそうです。大きく開いた二重の目からは光が溢れてくるようです。丸くとがった顎の形も特徴的です。対照的に左右に従えた犬は獲物を捕らえた時のような鋭さと賢さがその表情から伺えます。
その彫りは、博物館の中で見る古代ギリシャやローマの大理石像を彷彿とさせてくれ、古代の神の力を感じられるほどに写実的です。まず、現代カメオでは見ることができないほどの素晴らしいものです。
二度と出会うことのないといえる19世紀の傑作です。
通常、税抜きで100万円以上はしてもおかしくないものでしょう。傷などを考慮し、今回、半分ほどの価格で提供させていただいています。
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