かつて多くの貴族たちが愛したスイス製のエナメルブローチ
色鮮やかに、そして繊細に描かれたスイスエナメルです。
19世紀中期に復興し、人気を博したエナメルは、ジュエリーの宝石の横を飾る存在の脇役から、再びエナメルそのものが中心となっていきます。
その中でも特に、スイスのジュネーブで作られたエナメルは、高い技術と長い時間をかけて作られ、完成度の高い品として、注目されました。
当時、イギリスやフランスの貴族などの上流階級の中では、避暑地としてスイスを訪れることが流行しました。
そして、その記念として持ち帰られたのが、ジュネーブ・エナメル(スイスエナメル)でした。
その題材には、レマン湖などの風景画を描いたものや、スイス各州の伝統衣装を身に付けた美人画が多く選ばれました。
この作品は、スイス南西に位置し、レマン湖にも接する ヴォー州(州都ジュネーブ)の伝統衣装を着た少女を描いたものです。
この地方の民族衣装の特徴はなんといっても把手のような 三段になった麦わら帽子。 その麦わら帽子を被って、背中に葡萄を背負った少女の 表情はなんとも得意気です (ヴォー州はワインの産地でもあります)。
エプロンの細かな柄、真っ赤なスカートの襞、 ゆったりと巻かれたスカーフの光沢。 柔らかな肌、しっとりとした黒髪の質感。
どれも色鮮やかに、丁寧に描かれています。 背景には森とその後ろにレマン湖。
さらに遠くに村の教会と思しき建物も描かれています。
これら背景の表現は、 空も含め油彩画のような描かれ方をしています。
ジュネーブ・エナメルは大変高度な技術で、点描法で塗りつけていき、幾度も重ね焼きをしていきます。
これだけ多彩色で細やかな作品が出来上がるまでに、どれほどの時間を要したのでしょうか。
大変美しく仕上がった作品のため、その枠も丹念に時間をかけて作られた、素晴らしいものとなっています。
横の、金の板を巻いた細工はキュイール・ルーレと呼ばれ
「キュイール(cuir)=革」「ルーレ(roulé)=巻いた」(フランス語)
という言葉の通り、革を巻いたような表現の細工のことをいいます。
革の質感を出すため、タガネで凹凸をつけたり、線を彫ったりしています。
その為、油彩画にあるような、重厚な額縁のような効果が出ているのです。
エナメルの裏側は、土台となる板の湾曲を抑えるためにエナメルが掛けられており、「Vaud」(ヴォー州)と書かれています。
なお、ブローチの留め具の受けのパーツは20世紀に入ってからのものに交換されています。
配送日時につきましては、在庫確認後のご連絡でご要望を承ります。
配送ラベルに記載する商品名・送り主名につきまして、ご要望があります際には最大限の配慮をさせていただきますのでお気軽にご連絡ください。
当店では以下のお支払方法をご利用いただけます。
*お客様のご都合にあわせて商品お申し込みの際にご指定ください。
*銀行振り込み手数料、代引き手数料の決済手数料はご負担いただいております。
*7日以内にご入金・お手続きが確認できない場合、キャンセル扱いとさせていただく場合がございます。