細やかな彫りには気品が感じられ、大きなバチカンは取り外しが可能
ハーフカットされた真珠がセッティングされた大きなバチカンには当時、貴重であった天然真珠のネックレスが通されていたのではと思われます。
ストーンカメオは現在の市場価格よりも当時さらに高価でした。そのため、貴重なストーンカメオに合わせてやはり希少な天然真珠や太めのゴールドのチェーンが使用されていたのでしょう。
通常のストーンカメオに付いているバチカンに比べ、かなり大きなこのバチカンは縦幅だけでなく、奥行きもあります。現在であれば、真珠以外にもカーネリアンやサンゴなど他の天然石のネックレスを合わしても楽しんでいただけると思います。
彫りを見ていくと、大変細やかな彫りが施されています。巻き毛は上部で結ばれているようであり、ティアラや宝石を思わせる髪飾りが前方後方共に彫り上げられています。また、耳からはペアーシェイプのイヤリングが垂れ下がっています。ドレスの模様も忠実に表現されています。襟元は襞を帯びたものが巻かれ、首筋と段差が付けられ立体感を生んでいます。その下方にはイヤリングとおそろいのペアーシェイプのトップが付いた首飾りが身に着けられています。肩や胸の辺りのレースを連想させる装飾も見事であり、様々な模様が彫りこまれています。
側面から見ると白い層に厚みがあることが解ります。光を裏から当てると、左側に小さなインクルージョンの線がありますが、内部のみでヒビでありませんでした。画像を参照にしてください。
フレームは天然真珠が飾られており、中央をワイヤーで通して繋がっています。その他六つもの種類の異なる金綱が取り巻き、作品に重厚感を与えてくれています。
裏を見ると、ロケットバックになっていたフレームがあります。残念ながら嵌められていた硝子は無くなっています。また、針には585という14金の刻印が打たれており、このカメオがフランスではなく、ドイツで彫られたことが判断できます。針の受けは回転式の現代物に交換されており、安心してご使用いただけます。
尚、ドイツは昔から豊富な水量を生かした水車を利用した回転盤を使っていました。その回転盤を使用した宝石彫刻が盛んな土地となっていました。そのため、様々な宝石加工が発展し、19世紀にはドイツはフランス、イタリアに並び、ストーンカメオの産地として名を馳せました。
現代ではシェルカメオの製造地はイタリア、ストーンカメオの製造地はドイツとなっています。しかし、これだけ厚みがあり、細やかな彫りの完成度の高いストーンカメオは現在では製造されていません。
電気がない時代にこうした滑らかで細密な作品を生み出していた職人技に敬意を感じます。
細密な彫りと分厚い立体的な層、手の込んだフレームに、取り外し可能な大きなバチカン、様々な場面で活躍する19世紀のカメオです。
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