希少な200年程前のリングはクッションカットとローズカットのダイヤの組み合わせ。
ダイアモンドが本来持っている硬質な輝きが感じられます。19世紀初期というと未だ南アフリカからダイアモンド鉱脈が発見される以前であり、主な産地はインドとブラジルに限られていました。
その時代のダイアモンドの多くはローズカットであり、美しい石はダイアモンドのカットロスを減らしながらも輝きが増すようにとガードルが原石の形に近いクッションシェイプのオールドカットが好まれました。それはダイアモンドの結晶がピラミッドを二つ合わしたような形をしているためです。
このリングの中央のダイアモンドは長方形のクッションシェイプをしています。ルーペで覗くと中央に小さな黒いインクルージョンが見えますが、白く透明感のある石です。石自体に力があるのでしょう。クローズドセッティングにもかかわらず、光を強く放ちます。周囲のダイアモンドは中央のものに比べ少し銀色に近い色合いでローズカットが施されています。後の時代のローズカットに比べこんもりとした厚みがある山型をしています。
よく見ると、ローズカットのダイアモンドは一つ一つが形が異なりますが、それぞれの石の形に合わせてシルバーで囲まれ小さな爪と合わせて留められています。ルーペでみると長い時を経てきたことにより、その銀の覆輪と爪が摩耗しているのが解ります。指で触っても大変滑らかです。こうした擦れたような風合いもまた時代を感じさせてくれる味わいです。
フェイスの裏側とシャンクはハイカラットゴールドで作られています。フェイスとショルダーの接合面が見えないことことから一体として作られ、シルバーのフェイスを接合したのでしょう。同様にルーペでみると、すでにかなり摩耗していますが、接合時の空気の跡である小さな穴のような凹みがフェイスの側面に少し残っています。
19世紀前期以前のジュエリーはゴールドラッシュ以前であること、先に上げたように南アフリカでダイアモンドが産出されていなかったことなどもあり、生産数がその後に比べ非常に少ないです。特にリングはモーニングリング以外にはほとんどマーケットで見かけなくなりました。
コロナで大変な時期にもかかわらず、イギリスからこうしたリングが届いたことに驚くと共に感動しました。
小振りで一見シンプルなリングですが、時代を乗り越えてきた風格が感じられる特別な指輪です。他のリングとは風格が異なり、絶対にリプロダクションにはない、上品なダイアモンドの輝きが感じられます。
何度もそのフェイスを指でなぞってみても、石の硬さが伝わる一方、摩耗し滑らかになったセッティングに時代が感じられます。
ダイアモンドが今よりも遥かに高価であった時代に大切に作られ、残ってきた希少な指輪です。
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