繊細なミルとダイアモンドの輝きが融合したシンプルなリング
南アフリカでダイアモンドが発見された1867年以降、ダイアモンドの産出量はそれ以前に比べ、大幅に増えました。同時にこの時代ガス灯や電球の普及により、蝋燭を使用されていた以前に比べ屋内での明るさが大きく変化しました。
この二つの要因により、ダイアモンドのカットの発展が見られようになります。
19世紀中期まではカットロスを少なくするために、原石の形に近いガードルを持ったカットのダイアモンドが多くセットされていました。その後、19世紀後期以降には明るいライトの元、輝きを最大限に引き出すために考案されたブリリアントカットが多くのジュエリーに使用されていきます。
このリングにセットされているダイアモンドは中央と左右の一方ががトランジションカット、もう一つはオールドヨーロピアンカットです。どちらのカットもモダンブリリンアットカットに比べ、テーブルの面積が小さいのが特徴です。前者が下部の先端が尖っているのに対し、後者はキューレット呼ばれる底面があり、石を上から覗くとテーブルの中に下のキューレットが見えます。どちらもモダンブリリンアットのようにテーブル面に光を集める乱反射が強い訳でなく、一つ一つのファセットが光を反射し輝くのが特徴です。
こうしたオールドヨーロピアンカットとトランジションカットのどちらもがセットされることは1920年前後の作品には一般的に見られることです。ルーペで覗いてみると、透明の小さなインクルージョンはありますが、この時代の石として濁ったインクルージョンもなく、美しいものであり、それが輝きにも反映しています。
また、上記のカットがさらに多く使用されるようになったもう一つの要因が宝飾品にプラチナが銀に代わり使われ始めたことです。イギリスやフランス、オランダなど多くのヨーロッパ諸国では19世紀にはダイアモンドの周囲に金ではなく、銀を使用することが一般的でした。それは、金の黄色い反射光がダイアモンドの白い輝きを黄色く濁って見せてしまうのを防ぐためでした。しかし、銀は空気中の硫黄分で硫化し黒く変色します。一方、プラチナは変色がしにくく、粘り気や粘着性も高かったため、小さな爪やミル打ちで石をセットすることも可能でした。
プラチナの白さはダイアモンドを一層引き立て、20世紀初期にはダイアモンドジュエリーの人気はさらに大きなものとなりました。
このリングも三つ並んだダイアモンドが丁寧に小さなミル打ちで留められ、小さなミルの反射光とダイアモンドの輝きが融合しています。フェイスの表側にはプラチナを裏側とシャンクには金を使用した作りは1900年から1920年代の作品に見られる特徴でもあります。同時にフェイスとショルダーを繋ぐ接点が上から見るとアームからフェイスにかけて次第に細くなっていき、細くなったショルダー部分に縦幅を持たせ強度を出している構造もこの時代の特徴です。
上記の作りにより、三つ並ぶダイアモンドが指の上一層繊細に美しく輝きます。
シャンクの内側には左からPT、18ct、HS &S、4198と刻印が並んでいます。それぞれ、プラチナ、18金、メーカーズマーク、商品番号を表しています。
20世紀初頭に作られた輝きの美しいリングです。
配送日時につきましては、在庫確認後のご連絡でご要望を承ります。
配送ラベルに記載する商品名・送り主名につきまして、ご要望があります際には最大限の配慮をさせていただきますのでお気軽にご連絡ください。
当店では以下のお支払方法をご利用いただけます。
*お客様のご都合にあわせて商品お申し込みの際にご指定ください。
*銀行振り込み手数料、代引き手数料の決済手数料はご負担いただいております。
*7日以内にご入金・お手続きが確認できない場合、キャンセル扱いとさせていただく場合がございます。